その服を着て、何を成すのか

他人の人生をより彩りあるものにしていきたいなら、ファッションの力を利用しなければならない。


服飾業界はもちろんのことだが、TV関係者なら写り映えする華やかなスタイルが、栄養士ならフレッシュで元気が出るような服装が望ましい。


見た目がその人の仕事に対するイメージを左右するからだ。


f:id:neutralkyoto:20151120215647j:plain

ただ流行に乗ればいいというわけではない。


雑誌「VOUGE」の編集長、アナ・ウィンターはいつも同じスタイルである。

ショートボブにワンピースか、フレアスカート

これは彼女が服飾業界で働き始めて以降、一切変わらない。


ただ、いつも同じにみえるそのスタイルの中に、巧みにトレンド要素を織り交ぜている。

ワンピースの素材からティティール、ストールの巻き方、そしてポイントで取り入れるトレンドカラー…


同じスタイルの中で常に変化をつけている。

これが彼女のスタイルが「変わらない」のに「いつも新鮮」に見える所以である。



自分がやるべき仕事、生き方を見据え、それを成し遂げることに特化したファッション。

それを人は「スタイル」と呼ぶ。



大げさにいえば、農家の人にタキシードは必要ない。

だが、どろどろになったTricker'sのカントリーブーツを履いていたら、何を作っているのか凝視してしまうだろう。


 魚屋の親父がネクタイに気を遣いすぎていたら心配になる。

だが、何年も着込んでオイルが抜けたようなBarbourのオイルドジャケットを着ていたとしたら、どこでそれを手に入れたのか問い詰めたくなるし、買う気もなかったのにアジの一匹くらい買ってしまうかもしれない。


若手のサラリーマンが出世するためにブルックスブラザーズのグレーフランネルスーツを着るのは結構だ。

だが何十万もするサンローランの新作を買ったところで、どこに着ていくのか。


バイクに乗るわけでもないのに、なぜライダースが必要なのか。



その服を着て、何を成すのか。



スタイルを創り出すうえで、それがもっとも重要だ。


目的がないと洋服に着られてしまう。



欲しい洋服があるなら、胸の中に問いかけてみるといい。


「その服を着て何がしたいのか」と。