究極のAnti Trend
時代や季節によって洋服を使い分ける必要はあるのか。
コットンのカーディガンで凌げない寒さなら、ウールのカーディガンにすればいい。
冬だからといってモコモコのセーターにしてみたり、ブリティッシュやフォークロアなど新しいテイストを無理に取り入れる必要はない。
なぜならデザインを変えれば、合わせる洋服も変わるからだ。
たとえば、厚手のセーターをひとつ買い足したとする。
今まで着ていたカーディガンと違って、ジャケットのインナーに使えない。新しいアウターが必要となる。
アウターを変えれば、今度はそれに合わせたボトムが必要となる。
ボトムを変えれば、それに合わせた靴が必要となる。
一着の洋服が芋づる式にニーズの連鎖を生む。
その洋服に飽きてしまえば、それに合わせて買った洋服はすべて着なくなり、タンスの肥やしとなっていく。
そうして溢れかえったワードローブにヘドロのようにこびりついた洋服を引っ張り出し、適当に合わせては不恰好な装いで街に繰り出す。
無論、そうして溜まった洋服をうまく繋ぎ合わせられる人もいる。
だが、多くの人の場合はそううまくいかない。
アパレル産業の罠は巧妙であり、大概の洋服はそのシーズンの洋服としか合わないようにデザインが設定されている。
洋服を一着買えば、すぐさま消費社会の泥沼にハマってしまうよう仕組まれているのだ。
季節が変わったのなら、変えるべきは洋服のデザインではなく素材。
追求すべきは鮮度ではなくパフォーマンス、クオリティー。
Minimal Wardrobeとはファッション産業へのアンチテーゼ。
時代に振り回され、無駄な消費を繰り返す現代人を横目に、静かに日々を暮らすための洋服たち。
あなたのワードローブには、時代に置き去りにされた洋服がこびりついていないだろうか。