Easy Pants
ブルージーンズは最高だが、寝るには少し固い。
旅先にも毎日の就寝にも柔らかいパンツが必要だ。
スウェットは伸びやすいから、Aura Leeのヘヴィーなカットパンツやgramicciのクライミングパンツなんかもいい。
Tシャツ一枚にもジャケットにも合うスタイリッシュなデザインかつ履いていて眠くなる仕様ならなんでもいい。
最近はSleepy Jonesなど、タウンユースできるパジャマウェアも人気があるようだ。
ただ、あまりにも良い生地すぎると、着るのを躊躇してしまう。
American ApparelのスウェットパンツはいつだってCheapでChicでMinimalでオススメだ。
Minimal Wardrobeの条件
大きく分けると3つある。
1.気兼ねなく着れること
・シワ、汚れが付いても平気(ケアが楽)
・雨も平気(特にアウター、靴、鞄)
・頻繁に着ても消耗しにくいor消耗しても気軽に買える
・着心地がラク
少しでも着ていて気が滅入るようなら見直したほうがいい。
2.合わせる洋服を選ばない
・余計な装飾のないシンプルなデザイン
・ニュートラルなカラー
・体型に沿ったシルエット
朝起きて、合わせる洋服に迷わないのならそれでいい。
3.スペースをとらない
”空間=財産”
という考え方がミニマリズムの基本。
よりボリュームのないものがミニマルだ。
パーカよりカーディガン
ダウンよりコート+インナーダウン
ブーツよりスニーカー
コンパクトになるポケッタブルシェルも、ミニマルなワードローブには欠かせない。
Cardigan
夜は冷える。
夏の夜のTシャツの上から、秋の夜のジャケットの中、冬の夜のパジャマの上。
カーディガンは忙しい。
好きな色を選ぶべきだ。
ジャケットの中に真っ赤なカーディガンなんて遊び心はきっと許される。
それが心配なら黒やグレーを選べば間違いない。
ただし、スラックスとは色をずらすこと。
ハイゲージが良い。
インナーとして使用した際にもたつきがなく、引っかかってほつれにくく、洗濯も干すのも楽だからだ。
カーディガンは年中忙しいのだから、取り扱いに躊躇している暇はない。
つまり素材はコットンが間違いない。
ウールやカシミア、アクリルに比べて摩擦に強く、毛玉になりにくい上、洗濯も楽だ。
Blue Jeans
ブルージーンズ。
これほど男のロマンとリアルを投影されたアイテムは歴史上、他にない。
いつ、いかなる時もブルージーンズに勝る男らしさはなかった。
1950年「理由なき反抗」にてジェームズディーンがLeeの101zを履いて以降、つねに時代を象徴するアイテムであり続けた。
汚れても履き込んで色落ちしても気にしない。
ジャケットだろうがTシャツだろうが、着る服を「スタイル」と名付けてくれるのがブルージーンズ。
ベルのようなフレア型の裾を引きずりながら歩いていた頃もあれば、ピチピチのスキニーをビリビリに破いていた頃もある。
しかし現代において最もminimalなジーンズとは、ほどよく動きやすい股上の深さ、色落ちが楽しめるタフな生地の、少しテーパードかかったシルエットのものだ。
男のジーンズはジャケットに合わせるイメージを忘れてはいけない。
これらを併せ持つminimalなジーンズといえば、Levi's505やA.P.C. NEW STANDARDだろう。
濃い色から履くべきだ。
ほどよく色落ちしてきたらまた同じものを買えばいい。
何本も形の異なるジーンズを持つ必要はない。
ひざや裾が擦れて履けないのならカットオフしてショーツにしてしまおう。
White T-shirts
男はいつだってTシャツを肌から離せない。
仕事で着るYシャツの中、休日を過ごすジーンズの上、そして寝る時。
20世紀、Tシャツというアイテムが生まれて以降、男のファッションは大きく変わった。
何を着るにしても、とにかくTシャツを着なければ始まらない。
最もminimalなTシャツとは、
・身幅が適度に細身
・丈はヒップに半分かかる程度
・一枚で着ても薄すぎず、インナーにしてももたつかない絶妙な生地感
・白の無地
・ポケットが付いていない
ジャケットを軽く羽織って過ごすにしても、シャツのインナーに着るとしても、一枚でブルージーンズに合わせるにしても、とにかくこれさえあればなんとかなる。
そう思えるTシャツにはなかなか出会えない。
個人の体型にもよるから、とにかくなんでも試してみるべきだ。
ネックは難しい。
オックスフォード生地のシャツのインナーならクルーネック、ブロードやポプリン生地のシャツのインナーなら少し浅めのVネック。
自分の体格と相談し、シャツの生地を決めたうえでTシャツのネックを選ぶべきである。
ただ、Tシャツをスタイリッシュに着こなす最大の秘訣は
「首元がヨレる前に交換する」ことである。
あくまでも消耗品だから、あまりこだわりすぎないことだ。
Black Plain Toe
革靴は黒の表革で間違いない。
黒の革靴はスニーカー以上に人を自由にする。
黒の革靴さえ履いていれば、踏み入れられない文化圏はないからだ。
茶色の革靴はレトロな雰囲気や経年変化を楽しむ趣味の世界であり、minimalとはいえない。
デザインはプレーントゥか、ストレートチップ。
どちらも本来のフォーマルシーンで許される唯一の形であり、男に生まれた以上は履かざるをえない。
プレーントゥは外羽、ストレートチップは内羽が一般的だが、紐でサイズを調節しやすい外羽のほうがカジュアルに履きやすく、手入れも楽である。
よってプレーントゥを推す。
最初の一足はカーフレザーのアッパーに、ソールはVibramやダイナイトなどラバーソールがいい。
コードバンの柔らかい履き心地、経年変化は魅力的だが、防水スプレーを使用しても雨の日に履けない。
もし一生付き合える最高の一足が欲しいなら、その汚れ役を買う影武者が必要ということを忘れてはいけない。
ブランドはどうするか、どの木型にするか。
そんなことは自分の足に聞けばわかる。
百貨店やTrading Postのような良い靴屋へ足を運び、恐れず何でも試してみること。
サイズの合う既製靴がなさそうなら、ビスポークするのもいい。
世界に一足、自分専用の靴を履いてならどこにでも行けるような気がしてくる。
Fashion≠Minimal
エネルギーを持て余した現代の人々は、衣服がもつ本来の役割を忘れ、洋服で遊び始めた。
それがファッションである。
生きるために遊びは必要だ。
しかし、その遊びが服である必要はない。
ゆえにファッションは生きるために必要最小限の存在ではない。
そこにはただ、社会の輪の中に入るためのルールがあるだけで、それに従ってさえいればいいのだ。
つまりTPOと自分の身体さえ守っていれば、人はもう服を着る必要はない。
ただ、どうせ着るなら長く使え、一切の憂いのない完璧な服を着ようじゃないか。
服に人生を振り回されるなんて馬鹿馬鹿しい。
自分の人生を生き抜くために服を利用するだけだ。
Minimal Wardrobeとはファッションからかけ離れた存在。
生きるために洋服を着る人のためのワードローブ。